副業天国というか


最近、アルバイトでアメリカ人に日本語を教えている。
上海にいながら。


別に外国語教師の仕事に就いたわけじゃない。
知り合いの外国語スクールの社長に頼まれ、
「日本語を勉強したいアメリカ人がいるんだけど教えてくんない?」
みたいな軽いノリで頼まれた。
休日や夜などお互いの空き時間で調整すればいいみたいだし、
マンツーマンで自由に会話をするだけなので準備も特に必要ない。
こっちとしても英語と中国語の実践練習にもなるかと思いOKした。
悔しいかな中国語レベルははるかに劣っているのだがね。
1回2時間×週2回。
一応気持ちばかりのアルバイト料ももらってるわけなので
これも副業と言えるだろう。


副業、というと中国でも真っ先に株や不動産投資などが挙げられるが、
それ以外にも「本業の合間に別の仕事をする」副業が中国でも非常に多い。
というかみんなやってる。
そもそも本業と副業の境界線が曖昧な人が多いのだ。
元々会社に依存しないのが中国人なので、気に入らなければすぐ転職するし
自分にとってメリットがあるかどうかをまず第一に考える。
そのため、自分でうまく時間を使って金を稼ぐ手段があれば
本業以外でも好きに仕事をする、という人が多かったりする。
やってますけど何か?くらいの顔をしてくる。
商談でも平気で別の会社の名刺を渡して営業してくる人だっているほどだ。



中国では給与や福利などの正常な収入を「白色収入」、
賄賂や横領、窃盗・強盗など非合法手段で得た収入を「黒色収入」と呼ぶ。
んで、その間に位置する納税・申告されない個人的な収入を
「灰色収入」と呼んで中国国内でもこの額の多さがよく話題になっている。
灰色収入は特権階級等の間で交わされる袖の下的な意味合いが一般的だが、
中国ではまだまだこうした「課税されない収入」が幅を利かせてるのが実情だ。
役人が企業から、仕入れ会社が納品会社から、学校の先生が生徒の親から。
こうした商習慣はもちろん健全ではないものの、
残念ながら社会生活の中で信頼性が醸成されずらい現状では
こうした裏工作が社会の潤滑油の役割を果たしているのも事実だったりする。


そんなわけで、誰もが小遣い稼ぎに欲が出ちゃう。
もちろん中国にいる外国人だって例外じゃないわけだが。


本業の中に副業、というか小遣い稼ぎを滑りこませてくる人も多い。
あるレポートを中国語へ翻訳する作業をお願いした際、翻訳会社の女性が
「これ、300元私にくれたら優先的にやりますよ」とか普通に言ってくる。
で、払う。
イベント前日に急遽必要になった食材を慌てて仕入れようと思ったら
「これは別の会社に納品するものだから無理。でも倍の料金出せば先に出すよ」
とか言われる。値上げ分が担当者の懐に入るのだ。
で、払う。
金で解決できるんだから話が早いともいえるが
そうしたスタンドプレーがはびこるわけだから経営者もさぞ頭が痛かろう。
逆に急な依頼をうけて苦慮していると
「これは会社ではなく個別にお願いするものなのでお支払いも個別に」
なんて言われたりするので正直誘惑も多いわけだ。
で、もらう。たまに。
そういえばこの前中国人からビジネスプランを持ちかけられたが
イデアのほとんどがゴリゴリ風俗ものか違法持ち込みもので閉口した。
まぁそれくらい、誰もが商売の種を探しているということだ。


物価上昇に給料の値上げが追いつかない中国では、
毎月振り込まれる給料では安穏としてられない危機感が街全体を覆っている。
社会人1年生の女の子が金儲けを模索し相談にやってくるのが今の上海だ。
こうした環境こそがビジネスセンスを育む、
のかどうかは知らない



給料上げろ