マナー突貫工事中


万博近し。


上海市内は毎日どこかで工事をしている。
ちょっと目を離すと、あっちに高速ができてこっちにビルが建って
家の目の前に地下鉄が開通していたりする。
世界中が上海にアツイ視線を送っていこの時期、
メンツを重んじる中国は、国の威厳を見せるべく
そこかしこで突貫工事中なわけだ。
出番を間近に控え、街も顔を洗い化粧をする。
「上海はいまメンツ工事中」と言う皮肉が効いている。


で、やっぱり街並みだけじゃイカンというわけで
住民にもいろいろお達しがきているらしい。
【上海万博前の「パジャマ外出禁止令」に】
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=36720
以前に比べれば随分減ったとは聞くものの、
パジャマで街をフラフラするのは景観を損ねるとのこと。
いま知り合いの紹介で某金持ちの娘さんの日本語家庭教師を
少しだけやっているんだけど、その母娘は家の中では完全なるパジャマ姿。
お母さんなんて日本語も流暢で世間では立派な肩書きの人だし、
外ではさぞかっちりしてるんだろうに。
さすがにその格好で外出はしないだろうけど、
これが中国の家庭の姿なのかと改めて感じた次第。
あとはこれ。
【口臭予防へニンニク禁止 上海万博の警官に研修】
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100327/chn1003270114001-n1.htm
これまでどんだけ臭かったんだと思ったけど、
そこまで神経使うほど中国は街のイメージアップに努めてる、と考えれば
まぁそれはそれでいいのかな、とも思える。
政策となれば金もパワーも惜しみなくかける国なので、
これを機に外国人にもより住みやすい街になってくれればありがたし。

万博会場近くではこんな感じに洗濯物を外に干すのも禁止。


上海の調査会社が行った「子供が悲しむ親のマナー違反」というアンケートでは
ゴミのポイ捨て、道路の勝手な横断、公共の場所での喫煙、タン吐き、
マナー違反の運転などが挙げられたという。
特にタン吐きは外国人からみるとひどく気分を害する。至る所でかーっぺっと。
北京五輪のときに当局もかなり取り締まったみたいだけど、
数十年染み付いた習慣をそう簡単に止めることはできないんだろう。


その一方で、バスの座席などは当たり前のように譲り合っている。
譲る方も譲られる方も平然としていて違和感ないようだし、
社内もさも当然の空気が流れている。
すぐ横では、乗り降りする客同士が我さきにと押し合っているわけで、
そのギャップに不自然さを感じるものの、結局それはそうやって
教えられてきたかどうかに過ぎないわけだ。


海外文化に早くから触れている80後(80年代生まれ)や
より現代っ子の90後(90年代生まれ)の中には、
前述したような悪習といわれるものを恥じている人達も多い。
学校や企業もそうしたマナーを根本的から改善すべく
一部ではマナー研修のニーズが高まっているとも聞く。
食の分野でも、叫ばれる安全性の問題の多くはモラルや基本的な
労働マナーの欠如によるものが多いし、そもそも中国は昔から
漢方に親しみ、太極拳みたいな健康法・健康体操がまだ根強く
支持されてるくらい実は健康意識が根付いている。
日本では飽和しがちなきめ細かいサービスノウハウも
中国でぜひ一から普及させてほしいの、なんて思ったりする。


在中日本人は、いいところは学び、悪習には染まらぬよう気をつけましょう。
はい。