権力は、嫌って避けるかとことん使うか


3ヶ月くらい空けている間も
中国は相変わらず元気にトラブっているようです。


最近の中国の話題としては、薄熙来氏の失脚騒動がなんともアツイ。
重慶の市長でありながら、妻の英国人殺害疑惑で失脚した大物政治家ですね。
次々と新しい政策を打ち出す手腕と話術、見た目の良さも手伝って
非常に高い支持を得ている次世代のトップ候補と目されていた。
自称中国通の日本人有識者みたいな人たちも心酔していたようで
やたら彼を持ち上げるネット記事もたくさんみかけたように思う。
彼らは今の状況をどう説明するんだろうか。


薄氏は90年代に大連市の市長を務め、外資誘致を強力に推し進めた人でもある。
利害一致で大きな恩恵に預かった日本企業の幹部にとっては
「将来に続く貴重な極太パイプ」がなくなったことになるわけで。
日本側は今頃さぞ慌ただしくしているだろうなと想像している。
権力闘争に負けた末の失脚、との声がもっぱらだが、
それにしても人生一寸先を見せつけられて、なんとも教訓が多い事件である。



しかしまぁ権力って怖い。
でも中国人にとっては特別な意味をもつのもまた事実だ。


大阪商業大学JGSS研究センターが東アジア4カ国(日韓中台)を対象に
「友人の特長として大切と思う点」についてアンケートを取ったそうな。
4カ国を比較したところ、中国で際立って高かったのが
「権力がある」と「裕福さ」の2項目だった。
中国人は友人関係に権力を求める。確かにそういう一面はある。
ドライな関係に聞こえがちだけど、国や政治に期待できない生活環境の中、
自分たちのネットワークにのみ頼って生きていかなきゃいけないのが中国だ。
ギブアンドテイクを身上とする中国人なりの処世術とも言える。



参照:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8060.html


また、中国にいると、「権力」というワードが
今ひとつチープな意味合いを帯びてしまう面もある。
つまり、いち担当者が「職権」でもって権力者を演じてしまうのだ。
医者、学校の先生、タクシー運転手、警備員、誰でもそう。
一時的に優位な地位に(図らずも)なることは誰にでもあることだが、
よく言えばそれを「最大限活用する」のが中国流とさえ言える。
中国青年社会調査センターが行った「権力の乱用」に関するアンケート調査でも
94.8%が「普通の人が権力を乱用する現象が広くみられる」という回答をした。
皆がそうであれば、ある意味バランスは保たれていると言えるのか・・


一方、日本はというと、前述の4カ国アンケートの中で
「権力」や「裕福さ」に対して最も関心が低いことがわかった。
まぁ、生活レベルも他国と比べれば安定しているわけで
別にどうってことないと思っていたら、さらに
「日本人は権力に対する嫌悪感がダントツに強い」というデータまであるらしい。
橘玲氏のブログによると、2005年の世界価値観調査(World Values Survey)で
「権威や権力を尊重するのは悪いこと」と回答した日本人は
8割以上にも上ったらしい(良いことと回答したのはわずかに3.2%)。
他国と比べても圧倒的に「権力を嫌う」のが日本、ということだ。
(参照:http://www.tachibana-akira.com/2012/01/3705


権威や権力を嫌う日本人。権力をとことん活用する中国人。


昨今の大阪府知事の獅子奮迅の活躍ぶりなんかを見ていると、
歯切れのいい文言は胸のすくような気持ちになり応援もするんだけど、
一方でいつ足元をすくわれるのかと心配する思いのほうが強かったりする。
一生繁栄を続ける政治家なんていないんだから。



今の上海でもまだまだこういう状況


ちなみに、中国では富と権力の象徴として
「愛人をもつこと」がかなり上位に挙がるらしい。
まぁ・・・確かにね。四方を見渡せば好例がたくさん見える気がします。
愛人を持てば富と権力を得られるという話ではないですよね