中国向け日本産食品の現状まとめ


福島原発放射能の影響を受け、
中国でも日本食品の輸入規制が強化されてきている。
なかなか大変な状況が続いているもんで、
今日までの動きなどをざっくりまとめてみる。


◇ 3月25日
中国検疫局は福島、栃木、群馬、茨城、千葉5県からの乳製品、野菜および
同製品、果物、水生動物および水産物の輸入を禁止すると発表。
5県からの上記品目以外の食品輸入については中国側にて放射性物質検査を
実施するとともに、他県からの食品輸入に関してもモニタリングを強化するとした。


この時点で検査費用は数千元程度、検査日数も2〜3日と
上海においてはそこまで大きな影響はなし。
しかし他の地域では港で日本産食品をすべて送り返すなど厳しい措置も見られた。


◇ 4月8日
日本からの食品の輸入禁止措置対象県をこれまでの5県に加え、
宮城、山形、新潟、長野、山梨、埼玉、東京を加えた12都県に拡大すると発表。
また対象となる品目は、食品、農水産物全般に飼料も追加した。
さらに日本政府の放射物質検査合格証明や原産地証明の提出も義務付けた。


この日本政府が発行する放射物質検査合格証明というのが大きな問題で、
日本としては、そもそも放射物質をこれほどの規模で検査する機関は存在せず、
どこの機関で、どの程度行うかなどはこの時点で全く決まっていなかった。
農水省への問い合わせも「現在中国側と調整中です」との回答のみだった。
そのため、輸出をひかえる業者はどこに検査を依頼すればいいかもわからない。
また中国側においては、8日の時点で港に到着した日本からの貨物にも関わらず
すべて「検査証明書がない」という理由で止められてしまった。


◇ 4月15日
震災前に製造された食品や8日の措置の前に日本を出港した食品については、
中国側が輸入を認めることに同意したと日本のメディアが報道。
現場での対応は週明けからになるため、今後の動向はまだ不透明だ。
【参考】震災前の食品も通関拒否、中国側に改善要求
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110415-OYT1T01135.htm


と、だいたいこんな感じ。
現状、日本からの輸入食品についてはほぼすべて止められているってことだ。
一部、中国側通関で相当コネが効く業者か、別の国からの裏ルートで
引っ張ってくるところもあるらしいが詳細は不明。
中国の検疫局の人間に話をきいても、
日本側の後手後手の報道発表にはやはり不信感をもっているらしく、
「禁止対象県がいつ拡大するかわからないから、当分輸入は辞めたほうがいい」と
アドバイスをくれるほどだ。
かくも状況は厳しい。


上海の日本料理屋も苦戦が強いられている。
特に中国人をメインターゲットとしているような店は
売上がずいぶん落ちているとも聞く。
また上海で行われる食品関連の催事も軒並み開催取りやめとなっている。
5月に行われる予定の国際食品展示会への出展も中止し、
7月に上海マートで開かれる食品イベントも開催延期が決まった。
今期後半に行う予定の催事についてはまだ未定ながら、
この先の状況をみて開催中止になるものも少なくないだろう。


多くの中国人にとっては、福島だろうが東京だろうが沖縄だろうが
正直あまり大きな問題ではない。
日本人からみた「中国産」のひとまとめのイメージと大差ないのだ。
連日報道される放射能関連のニュースは中国人も関心が高く、
放射能レベルが7に引き上げられたとき
「おい、発表が遅いよ!」と中国人にいきなり怒られたくらいだ。


そんなわけで、中国の日本食品全体が大きな苦境にあえぐ中、
貿易、卸、小売、飲食業など皆が情報交換をしながら
この時期をどう乗り越えるか各社模索している状況だ。


しばらくは我慢の時期が続きそうです