まだまだ終わらない違法コピー


中国で意外に便利さを感じてしまうものの一つに、
最新海外映画がお手頃で見れてしまうことがある。


違法コピー天国との異名をもつ中国。
中国では、映画などのDVD市場における違法コピー製品が
全体のおよそ80%を占めているといわれる。
映画産業の収入は興行収入や広告収入だけでなく、ポスターや映像製品、
関連グッズなど幅広い分野にわたるのが一般的なもんで、
正式ライセンスをとっていない業者がこぞって勝手に商品化する中国では
そうした派生商品の収入がほとんど期待できないと言われているくらい。
中国の人気アニメ「喜羊羊与灰太狼」の派生商品なんかは
違法コピー業者が正規版メーカーの約4倍の収入を得たとも報じられてる。

中古ショップでは海外映画がランダムに並ぶ


そんなわけで、これまで世界各国は中国の知財フリーな状況を批判し続け、
中国も当初は「中国人の収入は米国民の数%に過ぎないんだから
正規版の映画を買うのは難しいんだ!」なんて反論していた。
しかし最近はそうはいってもいつまでもヤンチャなことは
言ってられないよね、ということでいろいろ体裁は整えつつある。
【日中、著作権保護で合意 映画や音楽の海賊版対策】
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031501000308.html
上海では万博時に違法コピー商品の取り締まりも急増していたようで、
虹橋地区で名の知れたDVDショップ「渋谷タワレコ」(!)も店名を変えて
一時は営業もストップしていたようだった。


しかしなんやかんや彼らも今では普通に通常営業しているわけで、
僕らは今も変わらず最新海外映画をお手頃価格で見れてしまう。
じゃぁ品質はどうなの、というと
フライング気味に登場する新作DVDは日本語字幕も微妙なものが多く、
意味が通じなかったり、やたら敬語が多い日本語だったり、
台詞と字幕のタイミングがずれていたりと結構「はずれ」も多い。
しかし1本あたりの価格が店舗なら15元、路上は5元程度と
安いことから、購入者もいちいち目くじらを立てずに
はずれをある程度覚悟してのまとめ買いにいそしむわけだったりする。


それにしてもいつまでこんなゆるい状況が続くんだろか。
日本では違法コピーで逮捕されるニュースをちょくちょく耳にするし、
中国でも大規模に売りさばく業者は一部摘発されたりもしている。
ついに当局が本腰を入れてきたのかな、なんて思えたりもするけど、
知財の専門家に話をきくと、健全化するにはまだ先は長いという見解が多い。
「ここ数年で商標トラブルはずいぶん改善してきましたけど、海賊版DVDは
怖い組織の利権が絡んでるから多分しばらくは変わらないですよ」ですって。
僕らもそうした恩恵を享受してしまっているだけに、
中国だとなんだか妙な頼もしさすら感じてしまうから複雑だ。


数十円で映画みれるのも今のうちだぞ。たぶん。