ワインブームと中国酒文化


日経ビジネスオンラインに中国のワイン事情が紹介されていた。
【中国にワインブーム到来】
http://qurl.com/s35gg


記事では富裕層を中心に中国でもワイン文化が浸透し、
そこから中流・一般層へと裾野を広げ今ではコンビニでも
1本10元程度の格安ワインが販売されていると紹介されている。


上海市内のレストランに行くと、出張等で来た外国人女性なんかは特に
飲む酒がないと嘆いている。日本では馴染みのサワー、カクテル類が
ほぼないため、しぶしぶ薄味のビールを飲んだりしてる。
もちろん外国人が集うオサレレストランではリキュールを一部置いているものの、
イクラスの中華レストランであっても、梅酒すら置いてない店は珍しくない。
その意味では、もともと濃い味、甘い味が好きな中国人(特に上海人)には
女性を中心にワインは受け入れやすかったのかもしれない。


日本の酒を中国に広めたいと意気込む日本企業は多い。
が、現状うまくいっているケースは極めて少ないように思う。
焼酎はまず売れていない。理由の一つは、白酒(パイチュウ)と似ているから。
伝統的な中国蒸留酒の白酒は、かつて金のない労働者達が日銭を出しあって
1本の白酒を買い、それを皆で水で薄めて飲みあったような酒で、
そこから「金のない人が飲む安酒」というイメージを今もなお持たれている。
特に年配層はそういうイメージを持っている人が多い。
その国で物を売るには、彼らが歩んできた歴史を深く理解しないといけないわけだ。


日本酒はすでに多くの商品がでているが、成功しているのはまだほんの一部。
ここで大事なのはターゲットを明確化することで、中途半端が一番悪い。
中流層ターゲットであれば、中国のローカル酒と競える位の価格競争力が必要だし、
高級路線を狙うのであれば、ちょっとひくくらい高い価格設定でないと売れない。
先日上海の某百貨店で物産展をやったとき、1個1000円近い長野県産のりんごが
週末飛ぶように売れた。富裕層は「いいものは値段が高くて当然」、という意識が
強いため、品質の良さを認めれば上海マダムは惜しげもなく金をだす。
これが彼らのメンツでもある。
旧正月に日本で買い物しまくる中国人富裕層は、おみやげもしこたま買う。
彼らは中国に戻って「これが日本のおみやげよ」と言って周囲に配りたいわけだ。
こうした彼らの自尊心を考慮することが肝要なんだと思う。


ワインが受け入れられて今ちょっとしたブームになっているらしいが、
今後ワイン同様、「レストランでビール・紹興酒・白酒を飲まない人達」を
ターゲットに新しい酒を提案するチャンスとしては絶好だと思う。


・・ま、とりあえず僕はウーロンハイがあれば事足りるわけで、
メニューに乗っけてくれと至る所でお願いしています。