上海コンビニ戦線

中国あるあるネタでは常連だけど、
地元コンビニがどうにもスゴイ。良くないほうで。
来た当初はちょっとしたカルチャーショックだった。
店員は挨拶しない。なんかこっちをスゲー見てる。というか睨んでる。
レジでおかし食ってる。棚に商品がない。etc..
上海にあって外資系(主に日系)コンビニは日々ボコボコと出店してる。
そんな中で彼らの店は経営大丈夫なのかなぁ、とずっと気になっていた。


で、先日たまたまネットで数年前のNHKスペシャルを見た。
タイトルは「13億人の欲望をつかめ〜中国コンビニ戦争〜」(2005年放送)
相次ぎ参入する日系コンビニと、受けて立つ中国コンビニの
戦いが描かれてたが、これがまた面白かった。笑ってしまった。でも納得もした。
詳細は省くけど、まだ動画サイトでは見れるので一見の価値ありだ。
そんなこともあって中国コンビニ市況に興味がわき、うっすらリサーチしてみた。


中国はつい20年くらい前までは食品は配給制で、
上海であっても自由に物を買うことが結構制限されていたらしい。
90年代に入り市場経済が導入され、その過程で政府は
流通近代化の一環としてコンビニエンスストア業態を推進していくことになる。
そして92年、日系コンビニとして初めてセブンイレブン深センに出店。
その後95年から97年頃にかけて、およそ2万店とも言われる国有小型食料店が
コンビニエンスストアに業態転換したと言われてる。
今もよく目にする「可的」や「快客」などがその例だ。
そして96年、日系コンビニとして初めて上海に出店したのがローソン(羅松)。
ローソンは日本で培ったノウハウを生かし、新しい消費文化で育った若年層を狙って
飲料や菓子類、弁当・おにぎりなど日配品の品揃えを充実させた。
冷たい食品を好まない中国人に配慮し、弁当をレンジで温めて提供したり、
歩きながら食べれるように串に刺したおでんを売り出したりと
画期的な施策を続々と打ち出した。
これが見事に当たって、他社がこぞってローソン手法をパクり、この辺で一気に
中国都市部のコンビニバブルを迎えることになる。
2002年には上海のコンビニ店舗数が2000を超え、2003年には3000店を超えた。
そして2004年にはファミリーマート(全家)も新規参入。
一時上海ではオーバーストア化して不採算店舗の閉店も相次いだが、
その後は法制度も改正され、外資によるFC展開が解禁されるなど
外資入り交じった新たなコンビニ戦国時代に入った。
昨年は北京を中心に展開していたセブンイレブンが満を持して上海に出店している。
ってなわけで、現在上海は大小あわせて
およそ4000店前後がひしめきあっている激戦区なわけだ。

ファミマは日本並の品揃え。毎日利用してます。


とまぁ血気盛んで勇ましい日系コンビニなわけだけど、一方で課題も当然多い。
まず通信インフラが日本ほど整ってない(中国ではまだ光でなくADSLが主流)。
そのため画像をつかった情報のやりとりなんかはかなり不便だ。
法制度もまだ不透明で、中国のコンビニは日本と同様にタバコ販売額が結構な
比率を占めるが、販売権を得られるかどうかは当局次第なとこがあるらしい。
一説では国営コンビニに優先的に与えられているとかいないとか。。詳細は不明。


ローソンは初出店から10年以上たってようやく単年黒字化したけど、
ファミマ、セブンイレブンなどはまだまだ投資段階ってとこなんだろう。
一方現状は苦戦続きの中国系コンビニだけど、昔ながらの地元住民や
低所得者層、年配層に対してはまだ根強く支持されているようなので、
これから挽回がもしかしてあるのか?・・と今後の攻防が見ものだったりする。


そんなこんなで、僕は今日も近所のコンビニに足を運ぶ。
相変わらずおばちゃんはお菓子を食べながら横目で一瞥するだけ。
国営コンビニの店員達は、以前は国の紡績工場なんかで働いていた
労働者達がほとんどなんだそうだ。
つまり、これまでおよそサービス業とは無縁だった人達。
なんだか店内は侘しさに包まれ、旧来の社会主義的な色合いを感じる。
で、結局何も買わずに店を出てしまうわけだ。
ちなみにテレビでも放映されていた国営コンビニの起死回生策
『コンビニに米と卵』は、2010年1月現在でもまだ健在でした。

どうなる中国系コンビニ。行く末注目だ。