犬と魚と中国食文化

食文化って多様です。


中国でも犬猫を食べる人達がいて、それがどうやら禁止されることになるらしい。
【中国初の動物愛護法、犬肉・猫肉料理禁止へ】
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2687265/5239383
この法案では、犬や猫の肉を食べた場合、最高5000元(約66,000円)の罰金及び
最高15日間の禁固刑を科すとしている。また、犬肉・猫肉を提供する組織には
1万〜50万元(約13万〜660万円)の罰金を科すことを定めるようだ。
法案の成立はまだ数年先みたいだけど、中国でも動物愛護の意識が高まっている。
万博が近いことも関連しているのだろうか?88年のソウルオリンピック前にも
欧米からの批判をかわすために犬食を取り締まったっていうし。


とはいえ、当然それに対する反発の声も大きい。その翌日のニュース。
【犬食猫食禁止法の動きに反対の声6割】
http://www2.explore.ne.jp/news/articles/13826.html?r=sh
個人的には犬好きなもんで、この手の話は耳にするだけで嫌な気分になるけど、
当たり前のように小さいころから食べてきた人たちにしたら、
反発するのも至極当然な気がして気の毒な気がする。


中国人の食の歴史は深い。
国土が広いので地域によって使う食材がそもそも違うし、料理法も極めて多様だ。
炒め方だけでも干炒やら滑炒やら清炒、生炒、爆炒など技法や時間の長短で
10種類近くあるらしい。以前同僚が広東料理でサルの脳みそを食わされて
気を失いかけたらしいが、そんな料理がでるのも中国ならではだろう。
『広東人は四足なら机と椅子以外なんでも食べる』なんて言われるが、
そんなディープな食の歴史を無理くり矯正しようとするんだから反発も強い。
ここは中国一党独裁の腕の見せ所なのかもしれない。

これは先日食べた火鍋。中国鍋料理の代名詞。初めて食べました。


逆に、海外から見ればあれだけ生ものを食べる日本人が異常に映ったりもする。
四川省で日本の魚をスーパーで売りはじめた会社は、マグロの刺身を店の人に
試食させたところ、それが生ものと知るやいなや『ぺっ』と吐き出したそうだ。
曰く、「生ものの魚なんて全部腐ってるだろ!」と。
内陸の人達にしたら魚は冷凍しかありえないってことだ。
これがほんの2、3年前の話だそうで、それだけビジネスとしてみたら
伸びしろがあるとも言えるわけだけど。
今では成都にあるヨーカドーでは刺身も結構売れてきているらしい。


中国人の味覚、嗜好も年々変わってきている。
ながーい食の歴史を調べてくと、これから海外の新しい食材を彼らに提案し、
新しいメニューを考え、新しい中国の食生活を作ろうとする自分たちの仕事は、
その責務たるや重大だとしみじみ思わされる。
日系コンビニに並ぶ弁当の味だって、年々味は改良されている。
つまりどんどん中国人の味覚に合うようになってるわけで、でもそうすると
「どんどん美味しくなくなる・・」と嘆く日本人駐在員もいたりするわけで。


あっちを立てればこっちが立たず。国も企業も大変だ。