ドタバタ開業の高速鉄道はどうなの


北京〜上海間を結ぶ高速鉄道京滬高速鉄道」が30日にいよいよ正式開業する。



これまで陸路では約半日かかっていた中国2大都市間の移動が
最短で4時間48分に短縮できるという。
こりゃ画期的だ。
海外や国内一部メディアからその安全性が心配されまくっているが、
しばらく様子見されつつも徐々に信頼度を高めていってほしいと思っている。


さて、こうした国をあげてのビッグプロジェクトにおいて欠かせないのが
利権絡みの汚職問題である。
今回はなんと鉄道部のトップである劉志軍が汚職で解任されてしまた。

日本で言えば大臣だ。国家プロジェクトの陣頭指揮をとるリーダーが、
率先して関係業者から利益供与を受けていたというからもう目もあてられない。


今回の一件での鉄道部の不正収入額はおよそ数百億とも言われている。
ちなみに、過去の汚職事件による着服額歴代トップ10は↓こういう感じ。
その額のデカさはもちろん、役職をみて尚更ゲンナリしてしまう。


1 余振東(40億元) 中国銀行広東開平支店・支店長
2 黄清洲(14億元) 広東省国際投資公司香港支社・副社長
3 陳満雄、陳秋園夫妻(4億2000万元) 中山市実業社長
4 石雪(3億8000万元) 海南華銀国際信託責任者 大連証券会長
5 王宝森(3億元あまり) 北京市副市長
6 王成明(3億元) 上海電気総公司党委書記・董事
7 許邁永(2億1300万元) 杭州市副市長
8 陳同海(1億9573万元) 中国石油化工会長
9 金鑑培(1億9000万元) 湖北省対外貿易庁弁公室主任
10 王守業(1億6000万元) 人民解放軍・海軍副司令官
【参照】http://bit.ly/isNlva


中国人民銀行のレポートによれば、90年代以降において経済犯罪絡みで
海外へ逃亡した中国政府高官の数は1万6000〜1万8000人にも上るらしい。
持ち出し金額は8000億元(約10兆円)ですってよ。
最近は中国当局もこうした汚職・不正行為の撲滅に向け
取り締まり活動を積極的に行っているらしく、昨年2010年の1年間で
不正行為で処分された公務員が約14万人にものぼったと先日公表されたばかり。
「・・え、1年間で?」と思わず聞き返してしまうほどの数だ。
しかし現在8000万人いると言われる国内の共産党員を考えれば、
およそ0.2%程度。。多いのか少ないのか妥当なとこなのかもう不明である。
最近上海市のトップが自らの月収について「毎月約11000元(約13万円)」と
発言したことで物議を醸している。なわきゃねーだろと。
灰色収入の根はかくも深い。


そんなこんなで、高速鉄道もどうにか開業にこぎつけた。
技術特許の申請で日本や欧州とモメているとか、
乗車券が高いので席が埋まらず赤字経営が続くだとか、
開発にたずさわった元エンジニアが「自分は乗らない」と言ったとか、
難題は山積みのようであるが、でも中国はいつもそんな感じだ。
スタートさせてから軌道修正していくのが中国式である。
だから、落ち着いた頃に利用してみよう、と大半の人が思っているんですね。


ドタバタの末の正式開業。
運行後は運行前のような大きなトラブルがないよう心から祈っている。