震災の影響を受ける日本産食品

先日の東北大地震
中国の日本産食品にも影響を与えている。


現在、中国においては、日本から輸入する食品について
すべて放射性物質濃度検査が義務付けられている。
福島県、栃木県、群馬県茨城県、千葉県の5県においては
乳製品、野菜、およびその加工品、果物、水産物等の輸入が禁止されている。
【参考】http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/genpa-kakukoku0325.pdf


中国側の輸入通関状況は地域によって様々だ。
上海ではまだ数日間の追加検査と数千〜数万円程度の検査費用で済んでいるが、
地域によっては日本産品の輸入自体を実質禁止しているところもある。
また食品の原産地に関する資料を厳密に要求している地域もあるらしく、
そうした明確なルール化もされていない中で振り回される日本企業も多い。
当然中国のニュースでもこうした日本食品の状況は大きく報道されており、
しばらくは買い控えようと考える中国人も多かったりするわけだ。


【中国で避けられる日本産食品〜震災は日本のイメージ変えるか?】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0401&f=column_0401_006.shtml


上海の日本料理店の中には、「当店は日本産食品を使用しておりません」などと
ぶっちゃけ宣言をかまし、客離れを食い止めようとしているところもある。
実際、低価格で食べ放題の店が多い上海の日本食屋では
コストの高い日本産食品を使う店は限られているのは当然なんだけど、
そこはできればあいまいにしておきたいと店側も考えていたことだろう。


背に腹は代えられない実情が伺える。


上海でも随一の高級日系レストランの料理長に先日話をきいたところ、
特に魚料理の注文が激減したという。刺身などはもってのほかのようで、
最近は鍋料理のメニューを急遽増やすなどして対応しているんだそうだ。


現状人体に影響を及ぼすほど問題のある食品が発見されたわけではないけども、
こうした「なんとなく不安」というぼんやりとした空気感が一番怖い。
特にクチコミ力が突出している中国ではこうした不安感が市場を支配してしまう。
上海の小売店であれば、世界中の食品が集まる上海において
正直そこまで日本食品に固執する理由がないと考えるのが正直なところだ。
騒ぎがおさまるまで日本品はやめとくか、という行動にでるのが普通だろうし
事実そういった声も聞かれる。
上海で日本食品の品揃えが豊富な久光百貨や八佰伴では
食品売場の売上もかなり落ち込んでいるらしい。
定期的に行っている物産展も当面は開催を控えることになりそうだ。


毎月どこかでやってた感もある日本食イベント




こうした日本産食品へのネガティブイメージはいつまで続くのか。



当分続くという意見もあれば、話題に事欠かない中国では
どうせすぐ忘れられると楽観的な見方もいる。
しかし当事者達はそうやって静観しているわけにはいかないわけだし、
今回もっとも被害を被った福島県のように上海側から
積極的に中国人に呼びかけるイベントも見受けられる。
【「がんばれ福島」上海で支援イベント】
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/03/26/kiji/K20110326000506760.html
こうしたプロモーションも地道ながら続けていくことが重要なんだと思う。


国と国との関係だけに、とかく個人レベルの活動に無力感を感じることもあるが、
それでも今まで積み上げてきたものを無駄にできるか、という現場の想いは強い。
誰もが予想だにしない事態が起きたわけだが、
これもまた中国ビジネスか、としみじみ思ったりするわけです。


まったく暇しませんよ、中国