お隣さんの塩騒動


震災から1週間が経過した。
日本はまだまだひと段落とはいかない状況が続いている。


そんな地震の余波がここ上海にも到来。
ヨウ素入り食塩は放射線被曝の予防に効果がある」などの
根拠薄な噂が中国で広がっているらしく、
スーパーなどの食塩が相次ぎ買い占められ在庫切れとなっているのだ。


放射線に対する塩の有効性って?という疑問もさることながら、
そもそも海を挟んだ中国にまで被爆の恐れがあるなら
日本はもう終わってるぞオイ、とか僕らは思うわけだが、
現場はパニックに陥っているようで客足はまったく止まらないようだ。
海水から作る塩は汚染されている、などの噂も飛び回っているらしい。


さっき会社近くの中国系スーパーに寄ってみたところ、
やっぱり塩は売り切れ。その間もひっきりになしに中国人客がきては
「塩はもうないのか?」みたいなことを言っている。


店員も答え飽きたのか「しつけーな!見りゃわかんだろーが!」みたいな
ぞんざいな回答をしていた。


市中心部の大型スーパーでは、朝の開店時直後から塩が売り切れ、
正午に追加した7000袋も300人以上が行列を作り、
1時間でなくなったとの報道もあった。
うーん。
会社の中国人スタッフも故郷の母親から
日本食品は放射線あぶないから食べるな」という連絡がきたらしい。
うーん。
上海では日本からの輸入する食品はすべて放射能検出検査が開始されたが、
なぜか地震の前に港に到着したものまで検査されているらしく
通関の現場も相当混乱しているようだ。
うーん。
大連は日本食品の輸入を全品一時ストップしているとの噂も聞いた。
うーん。


日本の被災地が、甚大な被害をうけながらも
驚くほど秩序を乱さず、被災者同士が協力しあう姿が報道されている。
その一方で、遠く離れた中国の地で真偽不明な噂に動揺し
一部パニックを起こす消費者の姿をみてしまうと、
日本人の成熟さをひしひしと感じずにはいられない。
未曾有の危機に瀕した日本ではあるが、
こんな国が復興しないわけがないとやっぱり強く思うわけだ。
日本人はそんな噂には振り回さないぜ!



・・などと思っていたら、
日系のスーパーではけっこう日本人駐在主婦らが
率先して塩を買い漁っているらしい。
これぞ現地化。