フォックスコン事件で世界の工場があわただしい


深センフォックスコン工場で自殺者が続出しているらしい。


【米アップルなどの中国委託先でまた転落死、今年10人目】
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-15534420100527
【アップルの下請企業で「飛び降り自殺」止まらず、12件目=中国】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0527&f=national_0527_011.shtml
【中国のiPhone工場でまた自殺、会社が「念書」書かせた直後】
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2730284/5805528


台湾資本の富士康集団(通称:フォックスコンFoxconn)は、
アップル、デル、HP、ソニー任天堂などを顧客にもち、パソコンや液晶テレビ
携帯電話など、電子機器の生産を担う世界屈指の製造受託会社だ。
フォックスコンといえば、以前iPhoneのプロトタイプ機1台を紛失した従業員に対して
激しい尋問を行い自殺に追い込んだってニュースが記憶に新しい。
そんなキナ臭さを世界にガッチリ印象付けたフォックスコンが、
今年に入ってさらに自殺者が続出してるって話。


というわけで、気になる内部の潜入レポートが紹介されていた。
【地獄のFoxconn潜入28日間】
http://www.gizmodo.jp/2010/05/foxconn28.html
・短い食事と睡眠休憩以外、祝日以外ノンストップで単純作業の繰返し。
長時間労働になっても会社側は一切責任を負わない、という『残業同意書』
・初任給は、900中国元(約12,150円)。
・床に何かを落としてしゃがんで拾う姿勢が1日のうちで一番体が休まる瞬間、など
なかなか赤裸々な実情が紹介されている。
すごいな、台湾企業だから許されるんだろうか。
これが本土国営企業だったりしたら著者はそっと失踪でもしかねない。


で、いやーこりゃスゴかですねーと深センで働く知人に話をふってみたところ、
「いや、このくらいは日常でしょ」と事も無げな返事。
この前も某日系企業で一人ガス中毒で死んだし・・とかって話がぽろぽろ出てくる。
それほどの環境が日常的なんだなぁ、と世界の工場の現場をしみじみ感じた次第。
蟹工船かぁ。読んだことないけど。
まぁ確かにフォックスコンが他に比べそれほど劣悪な環境かどうかは結構疑問で、
こんな事件があっても求職者が後を絶たないのは、
ネームバリューはもちろん、福利厚生が(比較的)マシだったりもするからだ。
深センの知人によると、ローカル企業は最低賃金に加え、
売上げ次第で臨時手当(紅包など)が出たりする習慣があり、
年俸ベースで見れば日系企業より条件が良い企業も少なくないらしい。
ちなみにフォックスコンの忘年会ではくじ引きで車が当たるんだとか。


深センフォックスコン工場は、総勢42万人の労働者が働いているらしいが、
そこで今年だけで10数人の自殺者。未遂を含めれば2,3倍になるかもしれない。
自殺率の国際比較(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html)によると
中国の自殺率は10万人中13.9人程度だという。
「じゃぁ全国平均で見たら普通じゃないか」ってのは早計かもしれないけど、
でもこれまでこの地でもみ消され続けてきた実態が
今回のフォックスコンで明るみにでたって一面はある。
一方で中国人の多くは激情的でヒステリックで時に流されやすい一面があるので、
そこんとこの冷静な対処は必要かと。


最近、中国では労働者の訴訟が増えている。
【ホンダ工場、従業員側は日本人社員への給与額公開を要求】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0528&f=business_0528_049.shtml
給与額公開て。ここぞとばかりに言うよねと。
労働者とストライキの問題は昔からだけど、
徐々に中国でも労働者達の自我の変化を感じる。ネットの影響も大きい。
毎年、地方部から新しい労働者達が続々と仕事を求めてやってくる。
政府は彼らの雇用を維持するべく、毎年8%の経済成長を掲げている。
8%を切ると大量失業者が発生し社会不安に繋がるという。
今回のフォックスコンの問題は単に1社だけの話でなく、
若い労働者達の新しい活かし方に対する問題提起になるんだろうなと。

中国といえば。ユニクロ上海旗艦店の長蛇の列


で、あたふたと方針変更を余儀なくされる日系企業も増えたり。
うーん、上海も他人事じゃない