これからの春節の形


中国はまもなく春節旧正月)を迎えます。


今年の春節は2/14。毎年日にちが変わるなんてこっちにきて初めて知ったわけで、
中国における春節の意味合いなんてもちろん知らなかった。


春節は中国最大の伝統行事であり、「離れていた家族が再会すること」を意味する
『団圓』のため、都市圏に住む出稼ぎ労働者や学生など老若男女の大半が
家族の待つ故郷へ民族大移動を始めるってことらしい。
通常の会社は前後約1週間が休み。出稼ぎ労働者の中には1ヶ月休む人もいる。
この春節前後の約40日間を『春運』(春節運輸期間)と呼ぶそうで、
この期間は道路、水路、空路、鉄道といった公共交通機関にとって
一年で最も忙しい旅客輸送の時期になるわけだ。
ちなみに今年の旅客総数は、延べ約25億4100万人と史上最高になる見込み。
ざっくり日本の総人口1.3億人の約20倍であり、つまり全日本国民が一斉に20回も
長距離移動をするってことだから、まさに春節の民族大移動ってことになる。


しかしこの旧正月ってのもいつまでこの体を成していくんだろう?
中国はいまビジネスシーンでこれほど世界に存在感を示しており、
すでに上海にも外資系企業が山のように入っている。
そこに勤める外国人にしたら、母国の新暦にあわせた年末休暇をとって
家族や旧友と会いたいって思わないのかな。
また、対国外ビジネスがメインである場合、2月の真ん中に1週間連絡が
つかなくなるなんて話になれば業務に支障をきたすことだって少なくない。
ひとまず現場担当者はまず出勤することになる。
今後さらに外資系企業が増え、非中国人が増えれば増えるほど、
国家間の長期休暇のずれに伴う不都合が生まれるように思う。
今すでにあるのか知らないけど、社内で非中国人と中国人の休みを分担するなど、
その辺は結構変わる余地があるんじゃなかろか。
ちなみにウチの会社も対日本企業とのやりとりが多いので、
担当スタッフはたぶん1日も休めそうもない。合掌。


ただ、もちろん春節のメリットを享受するとこもある。
2/5日経の記事。
春節特需、中国人観光客取り込め 宿泊者3倍の施設も】
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20100204cfb0406h04.html
この時期は中国人富裕層が海外旅行にドバっと飛び出す。
日本でも中国人観光客を呼び込もうと、地域の観光協会なんかが
中国の旅行雑誌などに広告をバンバン打って地元PRに精をだしている。
航空業界にしても、通常の年末年始の需要に加えて、春節の中国人旅行者需要は
大きな収益源であって、これが一つの時期にまとまったら旨みはその分減る。


良いも悪いもあるわけね。


そもそも旧正月のイベント性がもっとも大きい理由は、
貧しい時代の労働者達が、この日だけは日々の生活の苦しさから唯一解放され、
貧しい家でも肉を食べることができ、新しい服を着ることができたからだ。
春節の特別感の背景には日々の貧しさが前提としてあった。
今後労働者の所得が上がり、平時で美味しい食にありつけ、さらに交通の便も
格段によくなって以前ほど時間的、金銭的に帰省が難しくなくなれば、
もしかしたら春節もそれほど特別なものではなくなるのかもしれない。
日本のように正月の過ごし方がもっと多様になる可能性もある。
いつかのタイミングで、また中央政府がえいや!って制度を変えたりしやしないかと
ひそかに期待してたりもする。


ま、とはいえお祝い時の爆竹や花火の文化は相変わらずあるんでしょうが。
いっそ大雪でも降ってくれれば静かな年越しになるんでねか??



春節バーゲンにて。豚のいろんなもの。結構売れてるのね