どこでリスクに身を委ねるか


最近なんだか事故が多い。


ここ上海でもバスや電車など公共交通機関での事故が目立っており
なかなかスリリングな通勤を味わっている。


まずはバス。
【参照】高速道路でバス横転事故 11人が死亡、13人が重傷
http://www.shvoice.com/watch/news/15707.html
台湾のパソコン製造大手インベンテック社グループの従業員送迎用バスが
走行中にワゴン車と接触した反動で横転しそのまま道路防護壁に衝突。
この事故で11人が死亡し、13人が重傷を負ったという。
雨が降ってたわけでもないし、スピード出しすぎだったのかなと。
社用バスなのに。


中国は車の横入りや追い越しなんて
軽いコミュニケーションの如く日常茶飯事だ。
混雑時はクラクションがオーケストラのごとく公道に鳴り響いている。
ちなみにバスやタクシーの運転手が最もスピードをだす時間帯は
「とっとと仕事を片付けたい」と一番考える頃に集中しやすい。
例えば昼食や夕食時、また勤務時間終了直前くらいの頃は特にスゴイ。
上海にきた当初は危なっかしく感じてしょうがなかったが、今は逆に
急いでいるときだと運転手の走り屋のような運転に頼もしさすら感じてしまう。


次は電車。
日本でもニュースになった上海の地下鉄事故だ。
【参照】上海地下鉄事故:乗客悲鳴、都市騒然 中国鉄道不信さらに
http://bit.ly/mSCCr6
【参照】運行指令の指示ミス原因 上海地下鉄事故、幹部ら処分
http://bit.ly/puOK7c
乗客270人以上が怪我をしたという事故。日本人も何人か怪我を負ったらしい。
運行指令センター員と駅員が安全を確認せずに列車に運行を指示したことが
直接の原因とのことで、先日運営会社の幹部ら12人が処分された。


上海の地下鉄建設ラッシュはすさまじく、
毎年どこかで新しい線路が開通しているほど活発だ。
我が家の近所も再来年に新しい駅が誕生するらしく、
開通工事の影響で月に1回はマンション全体が断水もしくは停電になっている。
これ結構ツライんだが。
とはいえ車の渋滞で排気ガスが立ち込める上海なので
地下鉄が増えると交通も便利になるし大気汚染も緩和されるかなと期待している。
問題はそれに追いつかない現場スキルと企業体制なんだがね。


7月に起こった忌まわしき中国高速鉄道の衝突事故を例にあげるまでもなく、
中国の公共交通機関に対する信頼性は限りなく低い。
とはいえ利用しないと車でもないかぎり一般生活が不自由するので
ある人は乗車前に十字を切ってお祈りし、
ある人はヘルメットをかぶって自ら身を守ろうとするのだ。

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そんなこんな
なにかと心配が多いと思われがちな中国だが、
中国からみれば今の日本こそが「怖くて住めない国」と見られたりもする。
いまだに中華レストランのオーナーさんなんかと話すと
「日本の食品はまだ扱えないな、お客さんが嫌がるもん」と言われてしまうし、
震災後に留学中の娘を呼び戻した中国人女性などは
「中国は対策をうてるリスクが多いけど、天災じゃ対策もできない」と言っていた。
3月の津波の映像を見ればそう言うのも仕方ない。
外国人の視点でみれば至極当然の反応だし自分でもそうするような気がする。
結局、人間いつ何時どこで死ぬかなんてわかんないんだし
それならば「住み慣れたところで往生したい」というのが本能なんだと思う。


そういえば、

これ、猫好きの間では有名な「かご猫」という日本の飼い猫らしい。
中国語では「猫叔」と言われているのだが、
このゆるい愛らしさが中国でも非常に人気らしいことを最近知った。
で、このかご猫が住んでいるのが東北の某県とのことで
震災後、一部中国人ファンから「猫叔は大丈夫か!?」という連絡を数件受けた。
ブログも更新されてるようだし、とりあえず無事だと告げると
「まだ日本にいるのか?東北に住み続けるのか?」
「どこかに引っ越したほうがいいんじゃないか?」
という心配の声まで挙がったほどだった。


かご猫はどこに住むのが一番安全か、
それは誰にもわからない。

タバコがまだまだ欠かせない中国


会社の会議室はいつもタバコ臭い。


中国人董事長はタバコを吸うし、
来客者が顔なじみの中国人であれば大抵打ち合わせ中にタバコを吸うからだ。
だからテーブルの真ん中にはいつも灰皿が置かれている。


中国は世界最大のタバコ生産国&消費国らしい。
米疾病予防管理センター(CDC)などによる2010年度の調査では、
中国の喫煙人口は約3億5000万人にのぼるといわれている。
中国人男性の57.4%が喫煙者、女性は3%弱というからずいぶん偏っている。
昔から中国ではタバコは重要なコミュニケーションツールの一つであり、
一人がタバコを吸う場合、側に居合わせた人達にも勧めるのがマナーだ。
1本貰って吸い終わると、今度は自分の分を相手に勧める・・のループは
現代でもなお習慣として根付いている。


とはいえタバコの健康害悪は言わずもがなだ。
厳密な因果関係は気になるところだけど、
喫煙関連の病気で毎年100万人以上が国内で死亡しているとの報告もある。
2030年までには年間350万人が死んでまうとか言われる中で、
さすがの中国といえども禁煙ムーブメントは避けがたい風潮になりつつある。
今年5月からは衛生省がホテルやレストラン、バー、映画館、ゲームセンター、
公園、展示場、ターミナルなど屋内の公共の場での喫煙を禁止した。
公共施設を運営する事業者は目立つように「禁煙」の看板を掲げ、
従業員は喫煙を控えるよう利用者に伝えなければならないとしている。


しかしながら
もちろん日本と同様にタバコ産業がそう簡単に廃れるはずもない。
中国でもタバコは国有企業(中国煙草総公司)の専売制であるわけだし、
年間およそ750億ドルとも言われる税収は捨てがたい。
前述の公共の場での禁煙通知にしたって、禁煙を守らなくても
特別罰金や罰則は規則では定められていないなど片手落ちな感が否めない。
また主要産地である雲南昆明、玉渓、楚雄、昭通、曲靖などの中東部では
約400万世帯がタバコ栽培で生計を立てている現状も見過ごせないのだ。
消費者側からみても、タバコは古くから「男性上位主義」や「民族主義」、
愛国主義」の象徴とされており、かつては毛沢東訒小平など国家指導者が
タバコをくゆらせ、権力やリーダーシップのイメージとも切り離せない。
現代でも成功者ほどこれみよがしに高価なタバコを吸うのが中国だったりするのだ。


先日酒の席で話したある中国人社長の言葉が印象深かった。
「中国人同士の約束は契約書なんて交わさない。信頼関係で成り立ってるから
言葉に出したらもう必ずしなくちゃダメなの。だから答えを出さなくちゃいけないとき
タバコをとって火をゆっくり点けて時間をかせいで、その間に考えるんだよ」
口約束の重みはなるほど中国独特の商習慣と関係するのかもしれない。
政治家の発言を見ても軽率さが目立つ日本と比べると、
中国政府の狡猾じみた交渉術はこうしたところで養われてきたようにも感じる。


ちなみに、
中国は1人当たりの年間消費量が1646本でアジアでも第3位なのだが
アジア1位は実は日本(1人当たり2028本)なのだ。
ヘビースモーカーが多い日本は、ストレスの捌け口にタバコを吸ってしまうゆえ、
だからこそ禁煙のハードルが高いのかなぁ、なんて感じたりもする。


物価と一緒にストレス度数も高まってきている上海で
会議室が禁煙になる日はまだまだ遠い。

空気悪いとか気にしちゃいけない上海マラソン


今年の上海マラソンに参加することにした。
開催は12月4日。寒そうだ。
ハーフ(21.0975km)でのエントリーとはいえ
そんな長い距離を走るのは生まれて初だったりする。



http://www.shmarathon.com/marathon_home_jp.asp


ここ中国も実はけっこう健康意識の高い人は多い。
朝の公園にいけば太極拳をはじめ、バトミントンやダンス、
ジョギングをしている人も結構みかける。
しかし外国人からみればあんまり外で運動をする気はおきない。
なんでか。
もちろん空気が悪いからだ。
日本人が思い描く上海のバッドイメージの1つだろう。
車通りの激しい道をしばらく歩くと頭痛に襲われることもしばしば。
街行く女性の中にはマスクをしている人だっている。
日本人出張者の中には行く先々の海外で朝ジョギングをする人が結構いるが
北京、上海で走る人はそう多くない。
「なんか寿命が縮みそうで・・」とか言われて返す言葉に詰まったことがある。


いやまてよ中国の大気汚染はそんなにひどいのか、と思うわけだが、
あまりの深刻具合にアメリカ大使館やフランス通信社などが
北京の大気汚染を「観測不能な最悪のレベル」とまで脅して警告をしているらしい。
北京は上海と比べても大気汚染の深刻化が顕著といわれているが、
上海だって他人事ではないだろう。
アメリカの基準では北京はすでに大気質指標(AQI)が最高レベルで
「すべての人に有害なレベル」を示すとこまできているという。
並ぶ言葉がいちいち物騒です。
ちなみに上海は大気汚染による呼吸器疾病を予防するために
鼻うがいを推奨しているらしい。
鼻でうがいて。ツーンとしそうなのでできればしたくない。
【参考】大気汚染から身を守れ! 上海市が「鼻うがい指数」発表開始
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0818&f=national_0818_076.shtml


そんな上海だが、
なんだかんだここ数年でずいぶん空気は良くなってきていると言われる。
長く上海に住む日本人達からすれば
「今は日差しが入るだけマシでしょう」などと平気な顔して言うくらいだ。
そういえば去年の上海万博中は特に空気が澄んでいたように思う。
お国のメンツがかかった一大イベントだっただけに
近隣の工場を停止させて地方に移したからとかいろいろ言われているが、
その頃に比べるとまた空気は悪くなったと感じる。


中国で食べる食品なんかにも同様に言えることだが、
大気汚染による人体の影響などなど、余計なことを考えれば考えるほど
中国では住めなくなる。住みたくなくなる。
我ら外国人にしたら、なんであれ自分の国と比較して考えがちだし
成熟しちゃった日本と比べると中国はどの分野であれ分が悪いのは当然だ。
そんな中国に極力ストレスなく住みたいなら、誰かの言葉を借りれば
「よけいな想像力をOFFにする」ことが中国での快適ライフには欠かせないのだ。


そんなわけでこの上海の空の下で初のマラソンに挑むことにした。ハーフだけど。
大気汚染だろうが過剰農薬だろうが下水油だろうが食品輸入禁止だろうが
とりあえずめんどくさいことは一切忘れて
しっかり完走したいと思っています。

1日5000組が離婚しちゃう中国


中国でもずいぶん離婚が増えているんだそうだ。


新華網によると、中国の今年1〜3月の離婚件数は46万5000組、
離婚率は14.6%に達し、7年連続で増加しているという。
1日あたりおよそ5000組が離婚する計算になる。
中国民政省の資料によれば、離婚する年代は22〜35歳が最も多く、
36〜50歳は安定傾向、50歳を超えると再び増加するとか。
学歴と離婚率は反比例の傾向で、低学歴者ほど離婚率は高くなるらしいが
これ日本だとどうなんだろうか。


経済発展のさなかで女性の社会的地位も高まれば、
離婚率が上がったり出産率が下がったりするのは世の常なのかもしれない。
もとより欧米諸国のように子育てしやすい社会制度を
国に求めるような発想は中国にはないわけだし。
上海人なんかはよく「家と車がないと結婚できない」と言われてきたが、
若者の結婚様式も近年どんどん変わってきているらしい。
家や車も買わず結婚式も挙げない「裸婚」やジミ婚と同義の「素婚」、
ビビビッときてすぐ結婚しちゃう「閃婚」、
大学卒業と同時に結婚する「卒婚」など
以前より結婚のハードルが低くなってきているような風潮も
その後の離婚問題と大いに関係がありそうだ。
ちなみに「できちゃった結婚」は中国語で「先上车,后补票」
(先に車に乗って後で切符を買う)ということをついさっき学んだ。
ふーむ。


んで離婚の理由は、というとやっぱり浮気が一番多いらしい。
確かに、中国の金持ちはある種ステータスのごとく愛人を作る。
どこの国でも金持ちは愛人を囲うものだろうが、
中国はまたスゴくて、知り合いの金持ちなんかは妻と愛人数名、
その子供らを一同に介して海外旅行にでかけちゃったりもするくらいだ。


ちなみに中国ではいま「離婚計算器」なるものが一部で流行ってるらしい。
英国のコンサル機関が、夫婦の離婚を適切にサポートするため
離婚コスト試算や債務精査などを行うためのツールだとか。
そんな気軽に計算とかされちゃうと怖いですけど。
【参考】「離婚計算器」、中国で大流行
http://j.people.com.cn/94475/7441941.html


そんなわけで、身近でもお国柄をあらわすような離婚話をよく聞く。
同僚の女友達は、生まれた子どもが女の子であったため
旦那の母親から「どうして男の子じゃないんだ」とさんざん愚痴られ
嫌気がさして離婚してしまったらしい。
一人っ子政策下では、子供の性別に対する思い入れも相当だ。
また別のカップルは、結婚して1週間たったばかりの頃
「レストランで妻が夫よりも先に料理に手をつけたこと」に夫が怒り、
それに妻が逆上して大げんかとなり、そのまま離婚したそうな。
そんな光景、想像しただけでおそろしい。
偏見だが、激昂したときの中国の女性はとにかく怖い。


離婚の増加は経済発展の副産物か。
いま日本のどこかで流行っているらしい離婚式なんかも
今後中国で流行るかもしれない。

中国の美容整形


中国語の先生(女性、25歳)が先日プチ整形をしてきた。
目はぱっちり2重になり、まぶた周辺は少し赤く腫れていた。


「腫れてるけど大丈夫?」
「大丈夫、術後しばらくはこうなるの」
「ふーん、手術の時間はどのくらい?」
「だいたい2時間くらいかな」
「早いね。費用は?」
「私は4000元だった。でも安いところを探せば2000元くらいからあるよ」
「安っ。でも安いところは危険なんでしょ」
「そうみたい、だから私はお金を貯めて良い病院で手術したの」


美容整形、といえば韓国がなんだか有名らしいけど、
中国の美容整形も近年需要が非常に高まっている。
この10年で、美容整形は「不動産」、「車」、「旅行」に次いで
4番目にお金が使われるもの、とされているくらいだ。
ちなみに国際美容整形外科学会によると
2009年、中国では200万以上の整形手術が行われており、
これはアメリカとブラジルに続く世界第3位だという。
数の利もあるんで、世界1位も時間の問題と言われているらしい。

国際美容整形外科学会により作成


中国人が好む整形手術はというと、
「二重まぶた」、「鼻」、「あご」の順に多い。
大陸の人ですからね、まぁそうなんだろうなと思える。
んで当然若い女性の比率が高く、大学生が就職を有利にするために整形したり、
高校の卒業祝いとして親から整形代をプレゼントしてもらう人もいるとか。
親の愛もすごいね、という話だ。


しかしながら、中国美容整形業界の安全性はまだまだかなり疑わしい。
某調査では国の基準を満たしたクリニックは半分以下なんて報告もあるくらい。
去年、中国の女性アイドルが整形手術中に死亡する事件が話題になったが、
業界全体がまだまだ未整備な状態と言える。
【参照】中国の人気女性アイドルが顔面の整形手術中に死亡、当局が調査へ
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110114/chn11011408140014-n1.htm


そんなこんなで、中国政府は今年中にも美容室などで行われる
違法整形手術を取り締まる法案や、一般の整形外科を対象にした
衛生検査の実施法案などを取りまとめる方針としている。
さらに、美容整形手術を受けるために韓国などを訪れる
「整形旅行客」に対する規制も検討されているとかいないとか。
統計によるとソウルでの整形手術のうち30%は中国人なんてデータもあるらしく、
顔が変わりすぎて空港で止められる、なんて笑い話も少なくないようだ。



「整形してなにか変わった?」
「周りがイイねって言ってくれれば自信になるし、明るくなるかな」
「また整形したいって思う?」
「友達は整形にハマっちゃってもう3回もしてる。でも私はもういい」
「3回ってすごいね。その友達はお金持ちなの?」
「そうでもない。どうやってお金を貯めたかはわからないけど」


中国は出身地域による差別が案外多い。
地方からでてきた「外地人」と呼ばれる彼女のような人たちは、
大都会の上海で生き残っていくために貪欲だ。
語学や資格で自らのスキルを日々磨く人。
外見に手間隙かけて色恋からめて成り上がる人。


武器は大いに越したことはなさそうです。

ドタバタ開業の高速鉄道はどうなの


北京〜上海間を結ぶ高速鉄道京滬高速鉄道」が30日にいよいよ正式開業する。



これまで陸路では約半日かかっていた中国2大都市間の移動が
最短で4時間48分に短縮できるという。
こりゃ画期的だ。
海外や国内一部メディアからその安全性が心配されまくっているが、
しばらく様子見されつつも徐々に信頼度を高めていってほしいと思っている。


さて、こうした国をあげてのビッグプロジェクトにおいて欠かせないのが
利権絡みの汚職問題である。
今回はなんと鉄道部のトップである劉志軍が汚職で解任されてしまた。

日本で言えば大臣だ。国家プロジェクトの陣頭指揮をとるリーダーが、
率先して関係業者から利益供与を受けていたというからもう目もあてられない。


今回の一件での鉄道部の不正収入額はおよそ数百億とも言われている。
ちなみに、過去の汚職事件による着服額歴代トップ10は↓こういう感じ。
その額のデカさはもちろん、役職をみて尚更ゲンナリしてしまう。


1 余振東(40億元) 中国銀行広東開平支店・支店長
2 黄清洲(14億元) 広東省国際投資公司香港支社・副社長
3 陳満雄、陳秋園夫妻(4億2000万元) 中山市実業社長
4 石雪(3億8000万元) 海南華銀国際信託責任者 大連証券会長
5 王宝森(3億元あまり) 北京市副市長
6 王成明(3億元) 上海電気総公司党委書記・董事
7 許邁永(2億1300万元) 杭州市副市長
8 陳同海(1億9573万元) 中国石油化工会長
9 金鑑培(1億9000万元) 湖北省対外貿易庁弁公室主任
10 王守業(1億6000万元) 人民解放軍・海軍副司令官
【参照】http://bit.ly/isNlva


中国人民銀行のレポートによれば、90年代以降において経済犯罪絡みで
海外へ逃亡した中国政府高官の数は1万6000〜1万8000人にも上るらしい。
持ち出し金額は8000億元(約10兆円)ですってよ。
最近は中国当局もこうした汚職・不正行為の撲滅に向け
取り締まり活動を積極的に行っているらしく、昨年2010年の1年間で
不正行為で処分された公務員が約14万人にものぼったと先日公表されたばかり。
「・・え、1年間で?」と思わず聞き返してしまうほどの数だ。
しかし現在8000万人いると言われる国内の共産党員を考えれば、
およそ0.2%程度。。多いのか少ないのか妥当なとこなのかもう不明である。
最近上海市のトップが自らの月収について「毎月約11000元(約13万円)」と
発言したことで物議を醸している。なわきゃねーだろと。
灰色収入の根はかくも深い。


そんなこんなで、高速鉄道もどうにか開業にこぎつけた。
技術特許の申請で日本や欧州とモメているとか、
乗車券が高いので席が埋まらず赤字経営が続くだとか、
開発にたずさわった元エンジニアが「自分は乗らない」と言ったとか、
難題は山積みのようであるが、でも中国はいつもそんな感じだ。
スタートさせてから軌道修正していくのが中国式である。
だから、落ち着いた頃に利用してみよう、と大半の人が思っているんですね。


ドタバタの末の正式開業。
運行後は運行前のような大きなトラブルがないよう心から祈っている。

詐欺師と現地化の間


一国の首相が「詐欺師」呼ばわりされる時代。
なるほど世に詐欺師はさぞ多いんだろうなと思う。



ちょっと前に台湾の子どもが作った世界地図がネットで話題になった。
それぞれの国にコメントが添えられているが、
そこで中国が「不良品・詐欺師集団の輸出国」と書かれていたらしい。
おぉ。ズバッと言うねと。
台湾と中国はアレな関係だし教育もアレなのかなと思ったんだけども、
しかし子供の頃からこういうイメージをもってしまうものなのかと
あらためて中国の対外イメージの悪さを空恐ろしく思った次第だった。

【参照】中国は不良品・詐欺師輸出国、米国は邪悪な帝国、韓国は?
http://bit.ly/lHXC0X



日本も同様に中国=詐欺ってイメージが強いのかなぁ、と思っていたところ、
「中国人にばかり気を取られてはダメ!日本人詐欺師にも注意」みたいな
内容のブログをちょっと目にした。


そう、たしかに上海でも日本人を騙す日本人詐欺師の話はけっこう多い。
日本人の間でも「あいつは詐欺師だぞ、気をつけろよ」みたいな
会話が当たり前のように飛び交っている。
身近にも、複数の日系企業に儲け話をもちかけて金を巻き上げ、
その後ぱったりと姿を消した生粋の詐欺師がいる。
ちなみにその詐欺師はその後も平然と上海市内をぶらついており
たまに被害者ともバッタリ顔を合わせてしまうというから
なかなかの大物っぷりである。ぜひ一度ゆっくり話を聞きたい。


一方で、
まだまだ法制度もインフラも発展途上な中国では
社会の曖昧さの中で金儲けをする人が当然多いのも事実だったりする。
個人の才覚でいくらでも成り上がれる中国のいい面ではあるけれど、
時に強引で詐欺まがいな商売に走る人も多いわけで。
中国で長く商売を続けてきた「中国人気質の日本人」にとっては
日本のルールにあわせて綺麗な商売ばっかりしてられんわい!
みたいな声も案外本音だったりするんだろう。


3.11の震災を受けてもなお、日本企業の海外進出は急務とされている。
そんな中、専門家らしき方々は海外進出に際してよく
「現地化」の重要性をスゴク説いているような気がする。
成功の秘訣は現地化ですと。いいから黙って現地化せいよと。
そして、中国にきた日本の企業は、ある意味最も現地化している
中国歴ウン十年みたいな日本人の言う事をホイホイ信じてしまい、
「アイツに騙された、詐欺にあった」と叫ぶケースがでてきたりしまう。


日本人を相手に詐欺まがいな手口で騙す日本人も、
会社にだまって副業で飲食店をひらく日本人総経理も、
夜の店で気に入った女の子を事務員で採用する日本人管理職も、
どれもこれも「現地化」の崩れた成れの果て。
安易に信用してしまって騙されて中国嫌いになって日本帰って中国の文句行って
中国もそれ聞いてまた癇癪起こしてケンカじゃー!、みたいな流れにならないよう
僕らはそれとなく日中関係各位をサポートしていこうと思います。


過剰な現地化にはご注意を